アロマの効果と活用法【香りで、自分を整える】

いい匂いを嗅ぐときもちがホッとしたした体験はありませんか？アロマは日本では雑貨のような位置付けですが、フランスでは「メディカルアロマ」として医療分野でも使用されています。日本ではリラクゼーションのイメージが強いため、「ほんとうに効果があるのかな」「使ってみたいけど使い方がわからない」「むずかしそう」と思う人は多いのではないでしょうか。今回はアロマが心身にもたらす効果を、初心者さんにもわかりやすく解説します。道具がなくても簡単にアロマを使用できる方法もご紹介しているので参考にしてください。

アロマとは何か

アロマは「芳香＝香り」を意味しており、一般的に知られるアロマテラピーは「アロマ＝芳香」「テラピー＝療法」をかけ合わせた造語です。アロマテラピーは植物から抽出した芳香成分である精油を用いるのが特徴で、植物からわずかしか取れない希少なもの。精油の中には多ければ数百種類の成分が含まれており、心身に穏やかに作用します。

アロマが心身に伝わる３つの経路

アロマが心身に伝わるしくみは吸収される経路によって異なります。経路は３通り存在しており、①嗅覚から②肺から③皮膚からです。具体的にどのように伝わるのか、順を追って説明していきます。

①嗅覚から

「香り」は小さなにおい分子です。アロマを嗅ぐことにより、「香り」＝におい分子が鼻の奥にある嗅上皮に届きます。嗅上皮の絨毛に存在する嗅覚受容体がにおい分子をキャッチし、香りの情報は電気信号に変換されて脳の嗅球に伝わります。その後に感情や記憶、体温や心拍などの体の機能に携わっている大脳辺縁系に到達します。

香りを感じて脳の大脳辺縁系に伝わる時間はわずか1,5秒から3秒と非常にスピーディ。大脳辺縁系に届いた香りは快・不快か判断され、脳の視床下部に伝わり自律神経・ホルモン・免疫に影響します。

②肺から

アロマを嗅ぐことでにおい分子が鼻から咽頭を経て気管に入ります。そこから肺へ届き毛細血管の中に入ったのち、血流に乗って全身を巡り効果を発揮します。

③皮膚から

アロマ（精油）の成分は油溶性で分子が小さいため浸透しやすく、肌に塗ると毛細血管まで到達し血流に乗って全身を巡ります。浸透の速度は精油の種類によって異なりますが、吸収された精油のほとんどは90分ほどで体外に排出されます。

アロマの主な効果

アロマはいい気分になるだけではなく、さまざまな薬理作用がありますアロマの芳香成分はは植物自身が紫外線や外敵から生きていくために獲得した天然の化学物質。みなさんもラベンダーの香りでよく眠れた、ミントの香りで頭がすっきりとしたなどの経験はありませんか？たくさんある効果の中で代表的なアロマの効果をご紹介します。

自律神経調整効果

自律神経には交感神経・副交感神経があり、走ることで心拍数を上げたり、休んでいるときに血管を拡張させたり体のバランスを調整しています。たとえば不眠症にはさまざまな原因がありますが、夜に副交感神経が優位にならず眠れないのも原因のひとつ。アロマはこのような崩れた自律神経のバランスを調整する効果があります。

鎮静・鎮痛効果

アロマには鎮痛・鎮静効果もあります。痛みを感じるのは脳であり、アロマのにおい成分は脳に直接作用することで効果が期待されます。代表的なものはラベンダーで、成分に含まれる酢酸リナレルが交感神経の興奮を沈め不安や緊張を緩和します。リラックス効果や鎮痛を目的として、がんの緩和医療や訪問看護などでアロマが取り入れられている現場もあります。

抗真菌・抗ウイルス効果

多くのアロマに抗菌作用があり、使用することによりカビなどの真菌を抑えたり、感染症を抑制する効果があります。代表的なものはティートリー。抗真菌である水虫の治療にも有効です。梅雨の時期にはレモンやペパーミントを使えば防カビ対策も可能です。天然のものなのでお子さんやペットがいるご家庭も安心ですね。

集中力向上効果

集中力を高めたいときにもアロマは役立ちます。ローズマリーは、記憶を司る脳の海馬に刺激を与えて生理機能を活性化させるので、仕事の前や、朝に香りを取り入れるといいでしょう。認知機能が向上する実験結果も報告されています。わたしも勉強する際に芳香浴を取り入れています。

ホルモン調整作用

ホルモンには全身の機能を調整する役割があります。ホルモンを分泌する司令塔は脳の視床下部・脳下垂体であり、アロマが作用する部位です。アロマのにおい成分が脳に届くことで、女性ホルモンのバランスや分泌量を調整しているのです。うまく利用すれば、PMSや更年期障害の症状緩和に効果があります。

抗炎症効果

アロマは炎症を促進するヒスタミンなどの物質酸性を阻害し、鎮静する働きがあると考えられています。たとえば、ユーカリは抗炎症・鎮痛効果があり花粉症の症状改善に効果的、ティートリーはニキビの炎症を鎮める効果も。ラベンダーは意外にも火傷の治療にも使用できます。

アロマを生活に取り入れる方法

アロマの効果ってすごい！と感じたけれど、いろいろ道具を揃えるのは面倒だし敷居が高そうだと感じませんか？あまりアロマに馴染みのない方はディフューザーが一番に思い浮かぶのではないでしょうか。実はアロマを手軽に取り入れられる方法はたくさん存在します。何もそろえなくても楽しめる方法を含めてご紹介しますね。

ディフューザーを使用する

ディフューザーは雑貨屋さんなどでよく見かける加湿器に似た機器で、ニトリや無印良品などでも見かけますね。安いもので3000円程度から購入できます。アロマを垂らすだけで使用でき、効率的に空間に香りを届けることができます。デメリットはお手入れが必要なことでしょうか。

アロマストーンやアロマウッドを使用する

アロマストーンやアロマウッドも、アロマを垂らすだけで手軽に香りを取り入れることができます。値段も安いものは数百円で販売されています。デメリットとしてはディフューザーのように広い範囲に香織は届けられない、すぐに香りの変更ができない点です。

コップにお湯を入れて使用する

マグカップなどに熱湯を入れ、アロマを垂らして香りを取り入れる方法もあります。深呼吸して香りを楽しみましょう。容器とアロマオイルがあればすぐに試すことができますね。

ティッシュにつけて使用する

もっとも手軽で、ティッシュやコットンにアロマを1〜2滴ほど垂らして香りを楽しむ方法です。ハンカチなどでもよいですが、シミになる可能性があるのであまりおすすめではありません。

アロマを購入できる場所

アロマオイルはバラエティショップや雑貨屋さん、専門店などで購入できます。しかし物によっては合成された物もあるため注意が必要です。アロマの薬理効果がほしいなら、100％天然のものを選ぶのをおすすめします。アロマを選ぶポイントは下記の通りです。

「精油」または「エッセンシャルオイル」と記載がある
植物学名・原産国・抽出部位・品質保持期限が記載されている
ロットナンバーがある
遮光瓶に入っている

迷った時はアロマ専門店での購入をおすすめします。たとえばニールズヤードレメディース、モンサンミッシェルなど信頼できるメーカーがたくさんあります。また、ブランドによって同じラベンダーでも香りは異なることも。

全国にあるショップでは、生活の木であれば少量3mlと少量ずつから購入可能なので初心者さんにおすすめです。

アロマを使う時の注意点

アロマはわたしたちの体にさまざまな作用をもたらすことがわかりましたね。しかし使用する際にいくつか注意してほしいことがあります。

火の近くで使用しない

アロマオイルは脂溶性のため、引火性があります。アロマを使用しクリームなどの化粧品を作る場面では、キッチンなどで作業することもあるかもしれません。火を使う場所では十分注意しましょう。

保管場所に気をつける

アロマの基本的な保管場所は直接日光の当たらない冷暗所です。オイルボックスなども保管に便利ですね。揮発性が高いので、キャップはしっかりと閉めて保管しましょう。

こども、ペットの手の届かないところに置く

日本アロマ協会（AEAJ）では、以下の様に明記されています。

AEAJでは、3歳未満の乳児、幼児には芳香浴以外は行わないようにご案内しております。3歳以上12歳以下の子どもでも、大人の使用量の10分の1程度からはじめ、多くても2分の1程度までを限度とし、使用にあたっては十分に注意をしてください。

引用：https://www.aromakankyo.or.jp/faq/aroma/

芳香浴であれば年齢に関係なく楽しめそうですね。また、ペットも人間とからだの作りが違うため、推奨されていません。

妊娠中、高齢者、病歴がある場合は禁忌事項を確認する

アロマはホルモンに作用するものがあるため、アロママッサージなどは注意が必要です。芳香浴であれば作用は穏やかですが、専門家に相談し使用は慎重にした方がよいでしょう。同様に、高血圧やてんかんの人にローズマリーを使用すると発作を誘発する可能性があるなど、病歴のある人はアロマオイルの禁忌事項を確認した上で使用しましょう。